夢はありません
田巻華月メルマガ「『人間力』に磨きをかける!」メールセミナーの内容を1週間遅れで簡潔にお伝えしています。2018年1月12日配信分のメルマガです。
毎年の成人式では、マナーの悪さが取り上げられますが、今年は思いもよらぬ問題が起こりましたね。振り袖の販売・レンタル業者が突然営業を取りやめ、晴れ着を着られない新成人が相次いだ振り袖被害。新成人はもちろん、親御さんの気持ちを考えても心が痛みます。
ちょうどその何日か前に、たまたま開いてしまった!?田巻の「成人式」のアルバム。そこには晴れ着に身を包んだ31年前の「作り笑顔」がありました。いろいろな意味でため息です(笑)皆さんは、成人式の頃どんな思い出がありますか?
さて、今週は田巻物語を少々・・・ちょうど20歳を迎えた大学2年生の夏。大人になったからと父からと告げられたのは、想像もしない事実でした。
大人になったことを認めてもらえた嬉しさと、認めたくない現実です。
負債をかかえ、事業が立ち行かなくなったからと、大学をやめなければならない決断を迫られたのです。
そんななかでの成人式でしたので、「作り笑顔」なのです。のちにアナウンサーになって、大変でも笑う、辛くても悲しくても画面では笑う。そんな職業病に、この頃からの「作り笑顔」が役立ったのでしょうか・・・まあ、それはおいときまして。
当時は成人式の晴れ着レンタルというサービスも少なく、振り袖は親が娘のために購入する家庭が多いものでした。もちろん、うちにそんな余裕はないため、好きな着物を選ぶ楽しみなんて経験したわけでもなく、親戚から振り袖を貸してもれえるだけでありがたいものでした。
それまで何の苦労も知らず育ち、東京の大学に通いながらアナウンサーを目指していた私には寝耳に水。他人事のように思えたのを覚えています。放送局受験資格は大学卒業見込みの者。局アナになるためには、何がなんでも大学を卒業しなければなりません。
田巻、こうなったら親に頼っている場合ではありません。
私がまずしたことは、大学にアナウンサーになる夢を熱く語ること。その上で、なんとか大学生活を続けられるよう奨学金などの相談でした。
前回のメルマガでお話したように、「ごきげんよう」を挨拶に使うような女子大でしたので経済的には恵まれた学生が多かったことに助けられました。私のような落ちこぼれの学生でも、奨学金を受けやすかったのです。手を差しのべてもらい、なんとか学費の心配をなくしました。
生活費は、アナウンサーの夢に近づくために、人前で話すDJやイベント司会、塾講師のアルバイトなどを掛け持ちして捻出しました。そんな二十歳、大人のスタートはほろ苦い思い出です。
しかしそんな状況でも、なぜか楽しくて仕方なかったのです。お金の苦労も夢へのプロセスであると思うと、力がわいてきました。逆境を楽しむ力です。まさに、アナウンサーになるという「夢」が私を支えていました。
当時のアナウンサーの倍率は、今とさほど変わらないようですが、キー局で3千倍から4千倍。地方局でも1千倍と言われていました。手をさしのべてくれた大学への恩返しは「アナウンサーになること」そう言い聞かせ、「必ずなる」と自分を信じていました。
3か月だけ通えたアナウンスの専門学校で出会った仲間と、「夢はあきらめた時に夢になる」と、あきらめずに戦うことを誓いました。最後まであきらめなかった仲間は、東京から全国の放送局へアナウンサーとして羽ばたいていきました。
そんな1人は、アナウンサーになったからこそ、あのイチローの奥さんになり。(パチパチ。でかした!)今や各局のアナウンサー責任者や管理職も多数。それぞれの活躍が嬉しいものです。夢を追っていた頃を知っているからこその絆です。
26回泣いて、27局目で鹿児島放送に内定をもらった時、ご縁がある鹿児島放送に行くために26回落ちたと思えたのでした。26転び27起きです。改めて「夢」の力は逆境をも乗り越えると実感しました。
さて、今年の成人の日に戻ります。ある企業が実施した調査で、「将来の夢がある」と答えた新成人は54.4%で、11年前に調査を開始して以来過去最低だったそうです。この調査結果を聞いた時、息子が小学4年生だった3年前のことを思い出しました。
最近では、10歳の誕生日を迎える小学4年生で、半成人式なるイベントをする学校も少なくありません。ちょうどPTAの役員をしていた田巻は、クラスで行われた半成人式で司会を担当していました。子供たちが将来なりたい職業など夢を話し、保護者へ感謝の言葉を贈るのです。
「サッカー選手」「パティシエ」「先生」「冒険家」・・・それぞれの夢にインタビューしながら会を進めていました。そんななか、ある男の子が言ったのです。
「夢はありません」
子供の時に夢がない子なんていない、と勝手に思っていた田巻は言葉に詰まりました。子供たちは静まりかえり、それまで盛大に拍手をして目を細めていた保護者も、凍りついたのがわかりました。
私の反応によっては、この子の将来に大きく影響するかもしれません。
とっさに出た言葉は・・・
「正直に自分の気持ちが言えてえらいね」
父母の前で発表することは決まっていて、その前から各自考えていたはずなので、言おうと思えばどんな職業でも言えたはずです。現に、「サッカー選手」と答えた男子は右にならえでたくさんいましたし、なかには、堅実に「会社員」と言った子もいます。
その場をとりつくろうと思えば、なんでも言えたはずですが、彼は本当のことを言ったのでしょう。その子にはそれを言う勇気があったのは確かです。そして私は、彼とその場にいた保護者にこんな話をしました。
おっと、つい長くなりました。メルマガ初、来週につづくということで・・・
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