せっぱ詰まって、詰まる所、詰まらない話
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先日、新潟県新発田市にある敬和学園大学で、4年生を対象にした社会人入門講座を担当しました。大学生活から一変する社会人生活を、スムーズにスタートさせてほしいという大学側の意向です。
敬語や接遇用語はもちろん、新入社員が一番怖い電話応対や、社会人でも意外と知らない名刺交換の基本など、１つ１つ不安をなくしていきました。就活前の3年生の時も社会人としての心構えを伝えたのですが、態度が全く違います。真剣に取り組み、質問もどんどん出てくるのです。
「さすがにせっぱ詰まっているだけあって、みんなやる気だね～！」なんて言いながら、この時、少々心にひっかかっておりました。
そしてついに、言葉の神様が私にささやいたのです。今週も当初予定していたネタがなんだか「詰まらない」・・・「でも、せっぱ詰まっているし、どうしようかな」と口にしたら、
「『せっぱ』って何よ？はよ、調べろや」←言葉の神様にしては少々乱暴です。
文字に起こすと、ありがたいことにすぐに漢字に変換されます。「せっぱ詰まる」 → 「切羽詰まる」ん？ 切羽って？ 一体何が詰まるのよ～！！！
ようやく「切羽詰まった物語」の始まりです。
大辞林によると「切羽」とは、刀の鍔（つば）が、柄（つか）と鞘（さや）に接するところの両面に添える薄い金物。この切羽が詰まると、刀が抜けなくなるそうです。
「詰まり！」
窮地に追い詰められた時に切羽が詰まるとなす術がないないことから物事がさしせまって、どうにも切り抜けられなくなる。追い詰められて身動きがとれなくなると転じたのですね。
武士にとって刀は命そのもの。いざという時に刀が抜けないとなると絶体絶命。本当に危機的状況を表したことを語源とするのが主流のようです。
しかし諸説あって、武士も本当は人を斬りたくない、刀を抜きたくない。しかし抜かなければならない場合もある。そんな時に刀に手をかけながら最後までためらっている様子を「切羽詰まる」と表現したという粋な説もあることも心にとめておきたいと思います。
武士が殺し合いをする戦国時代ではなく江戸時代に生まれた言葉で、芝居の場面から生まれたという説もあります。
「詰まる所」 言葉は難しいのでござる。
このメルマガは毎週金曜日の14時頃に配信しておりますが、この原稿を書いたのは13時35分。今までも前日ギリギリに書いておりましたが、配信当日になって書くなんて綱渡り状態です。
ふ～。息切れ。
しかし、本来の意味から武士の気持ちを考えると、私の「切羽詰まった」状況なんて、生ぬるいものでござるよ。
そう言えば、先日、世間を騒がせた富岡八幡宮殺傷事件の凶器も日本刀でした。
せめて、「切羽詰まって」いたら、抜けずに悲劇が起こらなかったのか・・・なんて、「詰まらない」ことをふと思いました。
今週は、詰まったり、詰まらなかったり・・・（笑）
最後に、毎度ばかばかしいお話を・・・
【切羽詰まる】
来週の忘年会のメニューで楽しみにしている手羽先の唐揚げが頭から離れない田巻の想像・・・
切羽・・・羽・・・鳥？・・・切る・・・切り身？・・・鶏肉の切り身？勢いあまって鶏手羽を食べ過ぎ、のどに詰まらせて窮地に追い込まれる・・・では、ありませんでした。
おあとがよろしいようで。
あっ、「おあとがよろしいようで」って、実はこんな使い方間違っているのですよ。でも、今回「切羽詰まって」おりますのでまたの機会に。
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