おひとりさま

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皆さんは、「おひとりさま」という言葉をどのような意味で使っていますか？

 

 

先日、この「おひとりさま」を少し考える機会がありました。新潟県の南魚沼市で講演の仕事があり、新潟市から車を走らせること2時間。せっかくなので、そこからまた1時間の場所にある十日町市にあるオーベルジュを訪ねました。宿泊施設を備えたレストランです。

 

ちょっとした県内一人旅ですが、「醸す森」という店名だけあって、森の中に突然現れるフレンチレストランです。仕事終わりで暗くなった山道を車で走る心細さ。しかも看板もない初めてのお店を探すのは一人旅にはスリリングです。

 

 

やっとの思いでたどり着くと、スタッフの女性が言いました。「お一人でいらっしゃる女性のお客様は、道に迷われて、涙目でいらっしゃいます」。

 

 

「私も途中泣きそうになりました」「女性一人で来る人っているんですね」、など、到着してほっとしただけに会話も弾みます。

 

 

聞けば、コロナ禍で一人客も多いのだとか。その日の宿泊客は4組。一人で宿泊なんて私くらいだろうと思っていました。

 

が・・・他にも、「おひとりさま」がいるではありませんか。

若い女性が一人で静かにフレンチを楽しんでいるのです。気になる・・・気になってしょうがない・・・「おひとりさま」を楽しんでいる様子を横目に、田巻はイケメンのソムリエさんを呼び止めてはおしゃべりする秋の夜。フレンチのコースに、ペアリングのワインを十分楽しむことができました。

 

ところで、ひと昔前までは、女一人旅で宿泊しようものなら、自殺願望があるのではないかと心配されたり、または、友達もいないなんてかわいそう、と思われることもあったのが現実です。

 

 

「おひとりさま」を辞典で引くと、

１　飲食店などに一人で訪れる客を指す表現。主に、店側が用いる言い方。

２　婚姻を逃した女性を指す言い方。いわゆる「行かず後家」のことであるが、独身を謳歌しているというニュアンスを込めて用いられることもある。

とあります。２の意味の表現には首をかしげたくもなりますが、現代では、もっと幅広い意味で使われます。

 

 

「おひとりさま」という言葉は、ジャーナリストの岩下久美子さんが、2001年に発刊した同名の著書で初めて提唱された用語とされているようです。

 

著者の岩下さんは本が出た年に急逝されますが、その後、2005年に「おひとりさま」が流行語大賞にノミネートされ、ますます世の中に広まっていきます。

 

さらには、2007年に社会学者の上野千鶴子さんが書いた『おひとりさまの老後』が大ベストセラーになり、その2年後に上野さんは『男おひとりさま道』という本も出すのです。こうして「おひとりさま」という言葉はここ10年くらいで市民権を得た気がします。

 

 

2001年に出た『おひとりさま』のなかでは、次のように定義されています。「おひとりさま」とは、「個」の確立ができている大人の女性。仕事も恋もサクセスするために身につけるべき生き方の哲学。

 

つまり、自立している女性ということですね。亡き岩下さんが主宰していた「おひとりさま向上委員会」は、その後、きき酒師でエッセイストの葉石かおりさんという方が代表を務めます。そして、「おひとりさま」の本当の意味についてこのように話されています。

 

 

「おひとりさまとは、『男なんかに負けてたまるか』と肩を怒らした仕事命の猛女タイプの女性ではありません。仕事を楽しみながら、自分だけの時間も楽しみ、なおかつ彼氏とか家族との時間も充実させることができる。ゆとりのある、柔らかでしなやかな女性を指しているのです」

 

 

さらには、『おひとりさまの老後』で、高齢単身女性（男性）にも当てはまるようになり、その後の『男おひとりさま道』で、女性に限らず、男性も包括するようになったと言ってもいいかもしれません。

 

「おひとりさま」という言葉の歴史をみると、それぞれの著者がこの言葉をポジティブにとらえていることがわかります。

 

田巻も、精神的に自立し、自分一人の時間を楽しむことができ、他者との時間も楽しめる、そんな大人になりたいと思います。

 

田巻　華月メルマガ「『人間力』に磨きをかける！」メールセミナー　「1ミリでも前へ！一歩踏み出す勇気とやる気をプレゼント！」をコンセプトに、生涯アナウンサー＆元秘書　田巻華月がおおくりしています。