におい・匂い・臭い

田巻華月メルマガ「『人間力』に磨きをかける！」メールセミナーの内容をブログでは1週間遅れで簡潔にお伝えしています。2023年７月２１日配信分のメルマガの内容です。編集後記やセミナー情報などをタイムリーにご覧いただくには、メルマガにご登録ください。メルマガは毎週金曜日の午後に配信しています。

ある会社で、新入社員のことで困っていると相談されました。新卒の女性社員ですが、学生気分が抜けきらず、そのエピソードには驚きます。

なかでも、強烈な香水の「におい」が鼻につき、しかし男性からは注意がしにくいとのことでした。ビジネスシーンで気をつけたい「におい」のマナー。目に見える身だしなみには気をつけても、見えない「におい」が疎かになることもあります。

相手に与える印象のなかでも、タバコのにおいや過度な体臭といったものから、あまりにも強烈すぎる香水など、嫌なにおいの印象はなかなか消えません。「においも身だしなみの一つ」と言っていいでしょう。

最近は、柔軟剤のテレビコマーシャルでも「いいにおい」をアピールするものも多いようですが、人工的で強烈すぎる柔軟剤のにおいを苦手とする人も少なくありません。目には見えない「におい」については、自分では気がつかない場合もあるため要注意です。

新入社員指導に、おせっかいおばちゃん田巻が登場したいところですが、拙著『ビジネスマナー講座』の「においのマナー」に付箋を貼ってデスクに置こうか・・・なんて話しましたが、それも嫌みです。

ところで、ここまでの文章の「におい」の表記は、ひらがなで書きました。「におい」は、「匂い」と「臭い」の二通りの漢字表記がありますが、どちらの漢字を使ったらいいか迷う人もいるようです。

NHKによると、放送でこうした悩みが生じたのは比較的最近のことのようです。常用漢字表には、かつては「におい」の訓読みを持つ漢字がなかったため、放送では、ひらがなで表記してきました。

それが、2010年の常用漢字表の改定で、新たに「匂」という漢字が加わったほか、もともと常用漢字表にあった「臭」にも「におう」という訓読みが追加されました。これによって、「におい」は「匂い」「臭い」の二通りの漢字で書けることになり、放送においても「におい」を意味によって書き分けることになりました。

放送では、おおむね以下のような使い分けをしています。嗅覚で感じる「におい」のうち、「よいにおい」は「匂い」。花の匂いや匂い袋などです。

一方、「不快なにおい」は「臭い」。腐った臭いや生ゴミが臭うなどに使います。「臭い」と書いて「くさい」と読むことからも想像できます。

人によって快・不快の感じ方が異なる場合やどんな「におい」なのか判断が難しい場合、また、「ほのめかす」という意味で使われる場合は、ひらがなです。

例えば喫煙家にとってのたばこは、いいにおいかもしれませんが、煙を嫌がる人もいます。この場合、感じ方が違うため、たばこのにおい、また、犯罪のにおいがするなどの使い方もあります。

このほか、「気になるにおいについて」など、前後をひらがなに挟まれて、読みにくい場合などは、カタカナを使って「気になるニオイについて」と工夫もします。

アナウンサーになりたての頃、生放送で「あたり一面、キンモクセイのいい匂いがします」とレポートしたところ、画面に漢字表記をするわけではないので「いい香り」と表現すべきと指導されたことを思い出します。

におい・臭い・匂い・香りは、使い分けが複雑だと感じるものの一つです。表記を見たときに受ける印象も変わってくるため、どんな漢字を使うのか、ひらがな、カタカナなど注意したいものです。

ところで、京都のあるお寺のご住職が、「におい」について話していらっしゃいました。

「お経には、香食（こうじき）という言葉が出てきます。亡くなった方は香を食べるので、お線香をお供えして手を合わせます。

『におい』には二つの文字がありますが、『くさい』と書く『臭い』は、自分が大きいと書きます。胡散（うさん）臭いという言葉もありますが、自分は凄い人間だ、こんな凄い人と知り合いだとか、いわゆる胡散臭い、なんとか自分を大きく見せようとする『臭い』がします。いい『匂い』のする人間になりたいものだなと思います」。

臭覚ではなく、その人から醸し出される人柄の、いい「におい」を身にまといたいものです。

さて。新入社員さん、どうしたものか・・・

拙著『安心と自信を手に入れる！ビジネスマナー講座』をもとに、インスタグラム「ビジネスマナーミニ講座」をお伝えしています。毎週火曜日に更新します。フォローしていただければ嬉しいです。

田巻　華月　Instagram

https://www.instagram.com/katsuki_tamaki/

拙著『安心と自信を手に入れる！ビジネスマナー講座』は、お陰様で重版、3刷出来し、電子書籍も発売になりました。本を持ち歩かなくてもいいので、とても便利というお声をいただき、ありがたいことです。ご自宅や会社に紙面で一冊、更にkindle版もいかがでしょうか

↓　↓　↓　↓　↓　↓　↓