母の言葉

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息子、ポジティブ男子の受験体験記を楽しみにしていたのに、終わって寂しいというお声をいただきました。ありがたいことです。

 

 

上京を前に、連日、友人たちとの思い出作りをしていました。受験勉強中はほとんど乗らなかった自転車も、ここ1か月は大活躍でした。

 

 

その日も意気揚々と出かけていきましたが、暗くなり、少々心配しておりました。自転車で心配するのは、無灯火で事故に遭う、怪我をさせてしまう。盗難です。

 

 

ラインの連絡に、全てをひっくるめて、一言だけ、「自転車、気をつけなさい」と入れました。

 

 

日頃は「はい」「おけ」（OKの意味）「り」（了解の意味）など、そっけないものですが、珍しく、少々長文が返ってきたのです。

 

 

「その件ですが、盗まれました」

 

母の心の声「キタ～ッ！とうとうこの時が・・・」

もちろん、鍵もしていたのです。日頃から、鍵をしていてもそのまま車で持っていかれることもあると話しておりましたが、まだまだ純粋なポジティブ男子。そんなことをする悪人は新潟にはいないと信じておりました。

 

 

しかし、田巻は、なんだか胸騒ぎがしたのです。そして、いつかこんな日が来たら、かっこよくキメてやろうと思っていましたが、突然やってきた事態に、バシッと決めることができませんでした。

 

 

昔むか～しのお話です。

田巻が小学4年生の頃、初めて、友達と子供だけでプールに出かけました。田舎に住んでいた田巻は、バスに乗って遠くのプールに出かけることも大冒険でした。

 

 

しかし、そこで事件が起きたのです。

 

楽しく泳いだあとに更衣室で着替えをし、飲み物を買うために財布を取りだすと・・・入っていたはずのお札がありません。母から渡された3千円が消えていました。鍵もかからないロッカーでしたが、当時は盗まれるなんて考えもしませんでした。

 

小学生にとって3千円は大金です。叱られることを覚悟で、公衆電話から母に電話をかけました。

 

 

事情を説明すると、母がこう言ったのです。

 

 

 

「盗んだ人は、一生、後悔して過ごすでしょうね」。

 

 

その言葉のインパクトが強すぎて、他に言われたことがあまり覚えていませんが、叱られた記憶はありません。逆に、いい勉強をしたと思えたと共に、自分は絶対に悪いことはしないと誓いました。

 

 

そんな少女の頃の記憶は、盗難事件などを聞くたびに思い出され、50歳を超えても消えることはありませんでした。そして、いつか息子がそんな経験をした時のために、そのエピソードを話すのはネタとしてとっておいたのです。

 

 

 

ところが、盗まれたのは、アルファロメオの高級自転車です。私の方が、はらわたが煮えくり返ります。

 

「だから、気をつけろっていったでしょ～！」と普通の発言をして・・・はっ、決め台詞はこれじゃない！と思っても後の祭り。

 

帰ってきた息子に、昔、プールで経験したエピソードを話し、息子にとっては祖母が言った言葉を伝えたのでした。

 

 

ポジティブ男子は言いました。

「『残念ながら、世の中、いい人ばかりではないよ。東京に行ったらもっと気をつけろ』って、自転車が教えてくれたよ。自転車、今までありがとう」。

 

 

 

息子の心に残るような、母の言葉が言えるよう、田巻の修業はまだまだ続きます。

 

さて、そんなポジティブ男子ですが、なんと！やはり！ここにきて入寮、入学式が延期になってしまいました。よろしければ編集後記をご覧ください。

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●○●　編集後記　●○●

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この春、東京の高校に進学予定の息子。新型コロナウイルスの影響で、これまで何度も高校からの連絡で、中止、延期、未定の文字を見ましたが、4月1日、とうとう・・・

 

 

新年度のスタートと共に、都立高校の休校措置がゴールデンウィーク明けまで延長になり、それに伴い、入学予定の私立高校も準ずる措置をとりました。入寮、入学式はゴールデンウィーク明けに延期になります。しかし休校ではなく、オンライン授業をするのです。オンラインでプレイスメントテストをし、担任ともオンラインで挨拶をするそうです。

 

 

校長先生からの言葉です。

「私たちは、無力感に打ちひしがれながら、グローバリズムとナショナリズムの狭間で翻弄される毎日を、息をひそめて過ごしています。どうか不安や倦怠感、ささくれた気持ち、投げやりな気持ちに陥ることなく、生き生きとしていましょう。

感情豊かに、〇〇〇高校生としての春を共に生きていただきたいと思います。その上で、一人一人の思慮深さと冷静さで、自分の安全、〇〇〇高校の安全、社会の安全を守ってください」。

 

 

何から何まで異例の措置。忘れられない高校入学になりそうです。ポジティブ男子は、きっとこの逆境を無駄にしないと信じています。

 

田巻　華月メルマガ「『人間力』に磨きをかける！」メールセミナー　「1ミリでも前へ！一歩踏み出す勇気とやる気をプレゼント！」をコンセプトに、生涯アナウンサー＆元秘書　田巻華月がおおくりしています。