いろいろなビジネスマナーはもちろんですが、身だしなみについては何度も口を出してしまいました。

さて、今回はその「身だしなみ」についてです。

新年度を迎え、各企業で新入社員の研修が始まっています。田巻も各種研修を行っています。

先週は、開院前のクリニックで医療接遇研修。建設業界の新入社員を対象にした社会人研修もありました。

建設業界の新入社員研修は、高校を卒業したばかりの18歳が多く、素直なまなざしが微笑ましく思えました。県内各地、遠くは富山の会社からも参加がありましたが、全員が会社の制服を着て参加します。

社会人としてのマナー研修であることはわかっているので、ほとんどの人が身だしなみを整えて参加しますが・・・だからこそ、そのなかで、だらしない身なりをしていると目立ちます。

今年度は、珍しく、態度が反抗的に見える男性が参加していました。椅子にふんぞり返って、背もたれに手をまわして聞いています。身だしなみはというと・・・制服の上着は前を大きく開けたままで、だらしなく見えます。明るすぎる髪色、髪型もビジネス向きではありません。

田巻は研修中に大勢の前で指摘をすることはありません。まずは自ら気がついて直すのを待っています。

以下は、身だしなみについていつも伝えていることです。

人間、中身が大事なのは言うまでもありません。何度も会うたびに気心が知れて、意外な一面も魅力に感じられることもあります。

しかし、相手のことがよくわからない段階では、人となりや仕事に対する姿勢は、「身だしなみ」から判断せざるを得ません。

 更に、身だしなみとは、実は決して見た目だけではないのです。「身を嗜（たしな）む」ことに由来します。

嗜みは、好み。嗜好品の嗜という字ですが、他にも、「慎みや節度、普段の心掛け」という意味があります。身だしなみとは、「その人自身に関わる普段の心掛け」ということです。

広辞苑にはこのようにのっています。

身だしなみ【身嗜み】

１．身のまわりについての心がけ。頭髪や衣服を整え、ことばや態度をきちんとすること。

２．教養として、武芸・芸能などを身につけること。また、それらの技芸。

マナーの身だしなみは、この１の答えですが、私が関わっている秘書検定でもこのように教えています。「身だしなみとは、身の回りについての心掛けのことで、人に不快な印象を与えないように、髪や衣服などの身なりを整えるとともに、礼儀作法を身に付けて言葉や態度をきちんとすること」。

ということは、「相手に与える印象全てが身だしなみ」ということになります。

マナーである「身だしなみ」と、「おしゃれ」を勘違いしている人もいます。身だしなみは、相手や周囲がどう思うかが基準　　他者評価　おしゃれは自分の好みが基準　　自己評価　おしゃれは自分のためで、身だしなみは相手のためとも言えます。

おしゃれには、それぞれの個性やセンスが活かされますが、身だしなみは資質やセンスではなく、いくらでも努力でよりよくできるものです。

業界や職種によっては、制服を着る職場もあります。建設業もそのなかのひとつですが、では、なぜ制服を着るのでしょう。大きく分けると以下の四つです。

１　イメージアップ

2　お客様へ仕事に対する責任感を示す

3　安全な業務の遂行

4　社員同士の一体感

３の「安全な業務の遂行と」は、制服をだらしなく着ると、周辺の物をひっかけて落としたりすることがあるということです。それが建築の現場であれば、大きな事故につながる可能性もあるでしょう。

若い世代には、制服を着崩すことがかっこいいとも思う人もいますが、制服はきちんと着てこそ、かっこいいのです。

制服を着れば、会社の代表。制服への信頼を裏切らないようにしましょう。

見た目だけでその人の全てを判断することはできませんが、大抵の場合、仕事が良くできる人というのは、「自分を客観的に見る能力」があります。自分を演出する力、演出力があるのではないかと思うのです。

身だしなみは、「演出力」と「努力」が重要です。

建設業の研修でかかわった反抗的な態度の男性が発言した際、大勢の前で、「その意見は確かにそうだ。いいところに気がついた」と褒めました。反抗的な態度でも、表情が少し嬉しそうに見えました。1日の研修が終わりに近づいてきたとき、ふんぞり返っていた姿勢が直り、前傾姿勢に変わりました。

だらしなく着ていた上着は、逆に脱いでしまいましたが、わかりやすく直すのが恥ずかしかったのでしょうか。いずれにしても、何か気持ちの変化があったのかもしれません。心のなかでガッツボーズをした田巻です。

さて、監修した仕事は、今後もまだ続きますが、監修する以上は、田巻自身も身を嗜みながら、努めます。情報解禁になりましたらお知らせします。