「目白押し」が、目白押し

田巻華月メルマガ「『人間力』に磨きをかける！」メールセミナーの内容をブログでは1週間遅れで簡潔にお伝えしています。2023年11月3日配信分のメルマガの内容です。編集後記やセミナー情報などをタイムリーにご覧いただくには、メルマガにご登録ください。メルマガは毎週金曜日の午後に配信しています。

行楽の秋、食欲の秋、芸術の秋。秋はイベントが目白押しで、それを案内するチラシなどにも「目白押し」という言葉が、目白押しです。

幼い頃、隣のおじさんが小さな籠で「メジロ」を飼っていました。「目の周りが白いから、メジロって言うんだよ」と教えてくれたのを思い出します。

春を代表する野鳥「メジロ」。緑がかった綺麗な体の色と、目の周りを丸く囲む白い輪が印象的で、実物のメジロを見ていたので、しりとりをしても、「メ」のときはすぐに「メジロ！」と答えられ、役立ちました。

ところが、このメジロ。2012年4月から、飼育が禁止されました。愛玩目的の飼育捕獲を原則許可しないことが発表され、捕獲が許可されている野鳥はほとんどいなくなったのです。

となると、今の若い子たちは自然のなかでバードウォッチングでもしない限り、本物のメジロを見たことはないでしょう。

そもそも、「目白押し」の目白が、この「メジロ」であることを知っているのでしょうか。意地悪な田巻は、学生たちに聞いてみました。

さすがに、「目白押し」という表現は聞いたことがあるようで、意味も理解していました。「メジロ」は見たことはないけれど、鳥であることも多くの学生が知っていましたが、「目白押し」の「目白」が、鳥の「メジロ」であることは結びついていなかったようです。

なかには、東京の「目白」地区が関係していると思っていた子もいて驚きましたが。「目白」があるなら、「目黒押し」もあるのかと（笑）

もっと多くのデータを集めようと、先日は、ニュースを読んでいるUX新潟テレビ21のアルバイトの大学生にも聞いてみました。

やはり、答えは一緒。語源を知っているか聞いてみると、「考えたこともないです」と数人が顔を見合わせます。語源を教えると、「面白い」と笑っていました。

確かに大人でも、語源までは知らないかもしれません。皆さんはいかがでしょうか。

現に、ニュースのデスクに聞いてみても、「語源までは考えたことがなかったなあ」という答えが返ってきました。

さて、その語源です。

メジロが木の枝にとまる時、押し合うようにたくさん並ぶ習性があることから、多くの人や物事が、ぎっしり並んだり続いたりすることを表現するようになりました。

また、「目白押し」は、子どもの遊戯の一つです。大勢で押し合い、押し出された子どもが端に行って、中にいる子どもを押し出す遊びのことを指すようです。

いずれにしても、メジロの習性にちなんだものでした。語源を知ると、言葉の表現も、より理解できそうです。

ところで、春の鳥と言えば、「ホーホケキョ」の鳴き声で知られるウグイスも有名ですが、実はウグイスとメジロが同じ鳥と認識されている場合があるそうです。

その理由の一つが、花札にあると言われていて、花札に描かれているウグイスは、実際の体の色とは違い緑色で描かれています。実際、ウグイスは普段はヤブの中にかくれていて、鳴き声は聞こえても姿を現してくれないことが多く、春に梅や桜の木で見かけるメジロがウグイスと認識されてしまったのかもしれないと言われています。