「目途」って何と読む？

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大阪など6府県は緊急事態宣言が解除されましたが、先月末の西村大臣の会見で、「首都圏１都3県は3月7日を目途に・・・」という説明がありました。

結局、今夜、1都3県の宣言の再延長が決定します。ところで、普段「目途」を何と読んでいますか？

会見時、テレビ画面には大臣の言葉に合わせて文字スーパーが出ていました。大臣は「目途」を「もくと」と読んでいました。正確には、「もくと」と発言したので「目途」と文字を出したわけですが。

「目途」を「めど」と読むか「もくと」と読むかというアンケートを、2019年に毎日新聞校閲センターのウェブサイト「毎日ことば」で実施したそうですが、その結果と解説をまとめたページへのアクセスが2020年に急増したそうです。

安倍前首相が新型コロナウィルスに関する記者会見で「５月14日を目途（もくと）に、専門家にその時点での状況を評価いただきたい」と何度か「もくと」と発言したのです。

聞き慣れない言葉を聞き「もくと？『めど』じゃないの？安倍さん、漢字を読み間違えたのかも」などと思って検索した人が多かったのでしょうか。

今回の西村大臣の会見を見ながら、そんなことを思い出した田巻です。アンケートでは「目途」を「めど」と読む人が74.5％と圧倒的で、「もくと」は11.7％「どちらでもよい」が13.8％だったそうです。

あまり浸透していない「もくと」を使いがちな政治家の皆さんは、国民に理解されにくい言葉だ、ということを意識した方がよいかもしれません。

しかし、辞書には「めど」「もくと」いずれも載っています。新聞やテレビのメディアでは「めど」は平仮名で書きますが、これは常用漢字表内の読み方ではないからです。

「めど」の漢字表記は、辞書では「目処」が優勢ですが、こちらも常用漢字表内の読み方ではないため、メディアでは原則使わずに平仮名です。

漢字で「目途」とあれば「もくと」と読まれることを想定していますが、残念ながら、「もくと」と読んでいる人は少ないでしょう。

では、「目処」と「目途」の違いは何なのでしょう。

「目処」とは、「目指すところ」や「目当て」「見当」と言った意味の言葉です。あるものごとに対する見通しを指しています。「復帰の目処がついた」「活動再開の目処が立たない」のように使われます。「目処」の「目」は「めあて」を指し、「処」は「範囲」や「程度」を指しています。

「目途」とは、「目当て」や「目的」「目標」といった意味の言葉です。「めど」とも読みますが、「もくと」と読むのが原則です。「半年以内の完成を目途にしている」「ようやく予算の目途が立った」のように使われます。

「目途」と「目処」は、読みも同じで意味合いもよく似ていますが、それぞれの発祥には違いがあります。

「目処」は日本にもともとあった言葉（和語）で、こちらの方が「目途」より先に使われていました。「目途」は和製漢語としてその後に作られたもので、はじめは「もくと」と読まれて「目標」の意味で使われていましたが、その後「めど」とも読まれるようになり、「見通し」の意味でも使われるようになったという経緯があります。

つまり、「目途」は「もくと」と読むのが原則で、「目標」の意味で使われることが多いという点が、「目処」との違いになります。

ちなみに、「目処（めど）」という言葉の由来は諸説ありますが、「メドハギ」という植物が語源ではないかと言われています。「メドハギ」はハギ科の雑草で、茎の部分が、易で使う筮竹（ぜいちく）の原料となっていました。