首が回らないのです。

借金はないのですが・・・

首が回らないのです。

比喩的な表現ではなく、本当に朝起きたら、むち打ちのような症状が・・・それは置いときまして。

私たちが何気なく使う「首が回らない」という言葉。特に「借金で首が回らない」といえば、経済的に苦しく身動きが取れない様子を表します。しかし、この表現の由来や使い方を少し探ってみると、言葉の奥深さと人間の感覚が重なり合っていることが見えてきました。

「首が回らない」という慣用句は、江戸時代の商人のあいだで使われ始めたとされます。借金に追われると、返済にばかり気を取られ他のことに手が回らなくなる。帳簿を前に首をひねりながらも解決できない姿や、借金の重圧で自由に振る舞えないその窮屈な状況を「首」という身体の要にたとえたのです。

文字どおりに、「首が固定されて動かない」わけではなく、「生活の自由が制約される」ことを示した巧みな比喩表現といえます。

現代では借金に限らず、「仕事が忙しすぎて首が回らない」「家事と育児で首が回らない」など、精神的・時間的に余裕がない状態にも使われます。ストレス社会においては、お金のことだけでなく、人間関係に縛られて「身動きがとれない」感覚を持つ人も少なくありません。

面白いことに、心理学や医学の分野でも「肩や首のこり」はストレスの典型的なサインとされています。

精神的な圧迫が身体の緊張として首周りに現れる──つまり、「首が回らない」という表現は、身体感覚とも重なっているのです。心の負担が首周りの筋肉を緊張させ、物理的に「首が回らない」感覚を生むのですね。

借金や仕事に悩んで首をすくめる姿、肩に力が入って本当に首が動かしにくくなる感覚──人間の実感そのものが言葉に宿っているのでしょう。

首をめぐる表現はほかにも「首を長くして待つ」「首を突っ込む」といろいろあります。人間の姿勢やしぐさをうまく言葉にして、生活の実感を映してきた日本語の知恵。

そんなことを思いながら、肩の力を抜いて首をぐるりと回してみたくなります。

しかし、今の田巻は首が回りません。

これはきっと・・・・本の執筆のストレスですな。

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