夜目遠目笠の内【田巻メルマガ】

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6月に入り、本格的な雨の季節を迎えます。

 

今月11日は「傘の日」。日本洋傘振興協議会が1989年に制定した記念日です。暦の上で「梅雨の時期に入る日」を意味する「入梅」にあたる日を「傘の日」としたそうです。

 

 

傘で思い出したのは、テレビの情報番組。ある日の天気予報のコーナーです。雨の日に渋谷のスクランブル交差点を上空から映していました。

 

その映像を見ながら、コメンテーターが一言。「最近は透明傘が多いので、『色とりどりの傘の花が咲く』なんて表現もしづらくなりましたね」

言われてみれば、確かにそうかもしれません。無色の花・・・はありません。

 

透明傘はコストが抑えられるだけでなく、見通しがよいという利点もありますが、更に思い出したのがこのことわざです。

「夜目遠目笠の内」(よめ とおめ かさのうち)

辞典には、

「夜見るとき、遠くから見るとき、笠に隠れた顔の一部をのぞいて見るときは、はっきり見えないので、実際より美しく見えるものである。多く、女性にいう」と書いてあります。

「笠」は、かぶる笠にかぎらず、雨傘や日傘と解釈される場合もあります。

はっきり見えないと想像力が高まり、その美しさが強調されるという心理現象も指しているようです。見えない場所は、自分の思う理想像を当てはめてしまい。その結果、「美しさ」の評価が上がるんだそうです。

 

 

しかしよく考えると、なんだか失礼な話ですな。

 

「多く、女性にいう」がひっかかります。

 

1645年頃、江戸時代に刊行された書物に書かれたことわざなので、男性目線で書かれたとすれば仕方ないのですが・・・

 

 

しかし、現代でもよく似たようなことは言われます。人間の感覚は、江戸時代から変わっていないのでしょう。

 

変わったと言えば、「女性」ではなく、それは「男性」にも言えるということです。

 

スキー場でゴーグルをつけて滑る男性が、かっこよく見えたり・・・マスク越しのまなざしが素敵と思ったのに、マスクを外したら・・・あら、そうでもない・・・

夜目遠目マスクの内・・・

 

辞典の解説を「男女問わず使う」に変えてほしいものです。

 

 

年を重ねると、老眼も進み、なんだかぼやっとして、夫の顔も美男に見えるかも・・・

もともと目が悪い夫には、田巻が美女に見えていたのかも・・・

お互い、メガネをかけないほうがいいこともあるかもしれません。

 

さて、雨の季節。すべてが透けて見える透明傘は使わず、素敵な傘から少し顔をのぞかせてみましょうか。

 

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