重箱の隅

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最近の田巻は、チラシの広告をジ~と見て は、ため息。仕事をして、またジ~と眺めては、「どうしよう」とポツリ。

 

 

おせち料理を注文するか、しないか、悩んでいるのです。またはスーパーで購入したものを自分でお重に詰めるのか・・・そこに「作る」という選択肢がないのが、自分でも残念です。

 

 

 

おせち料理の広告を見る度に、2人の料理の先生を思い出します。鹿児島放送のアナウンサー時代、料理番組を5年程担当していました。しかも、タイトルが「華月のただいま修業中」です。2人の料理研究家の先生につき、料理の修業をするのです。視聴者は私の失敗も含めて楽しんでいただけたと自負しております。

 

月曜日から金曜日まで週5日、毎日放送される帯番組で、お陰で、料理の知識だけは豊富になりました。私の似顔絵が入ったレシピは、今でも宝物です。

そして毎年のように、年末になると「おせち料理」について叩き込まれます。「華月ちゃん、おせち料理というのはね・・・」と教えられるのです。

 

おせち料理自体、それぞれに意味があるのはご存知だと思いますので割愛しますが、最近のおせち料理の広告を見ながら思うのです。

 

 

重箱とは、二重から五重に積み重ねられ最上段に蓋を付けたハレの日の料理を入れる箱。最近見られるようになった一段は、重箱とは言えないな・・・積み重ねないのに、一段重って言い方はおかしくない?・・・など、細かすぎますね。

 

「華月ちゃん、おせちは重箱に詰めるのにも意味があるんですよ」という先生の声が聞えそうです。皆さんは、おせち料理はなぜ重箱に詰めるのか、理由をご存知ですか?

 

 

 

おせち料理は年神様のお供え料理であり、家族の幸せを祈る縁起物としての位置付けがありました。

 

 

縁起物なので、 重箱に詰めることにも「福が重なる」「めでたさが重なる」という願いが込められているのです。ご想像の通りです。

 

 

広告に見られる三段重の重箱が今では一般的ですが、元々は五段が主流で、四段、三段と簡略化されたようです。五段重を使う場合は、一段目から四段目までに料理を入れて、五段目は年神様から頂いた福を詰める段として空けておくと聞き、修業中の頃は、目からウロコでした。

「今が満杯ではなく、将来さらに富が増えるように」という願いが込められているのですね。

 

 

現在では五の重を省略することも多くなりましたが、日本の伝統の奥深さを感じます。お重は上から「一の重」「ニの重」「三の重」そして、「四」は「死」を連想させることから縁起が悪いとされ、「与の重」と呼びました。

 

また、お重ごとに詰める料理も決まっていますね。

一の重は「祝い肴」で、黒豆や数の子、田作り、紅白かまぼこなど。

二の重は、「口取り」。「八寸」と呼ばれるもので、会席料理の際に最初に出される料理で、おせちでは、きんとん、伊達巻、昆布巻きなどに、紅白なますなど酢の物です。

三の重は「焼き物」で、海老の塩焼きやブリの照り焼きなど海の幸が中心。

与の重は、「煮物」です。野菜のお煮しめや筑前煮など山の幸を詰めます。

と、習いました。

 

古くから伝わる重箱の使い方もおせち料理の内容も、地方によってしきたりが違うのもまた日本ならではでしょう。

 

 

おせちとは元々、元旦をはじめ3月3日や5月5日など、季節の節目となる節句に神様に捧げる供物として作られていた料理。その“御節調理”がいつしか正月の料理だけを意味するようになり、新年を祝う料理と混ざり合って庶民の間にも広く定着するようになりました。

 

 

 

おせち料理が保存食の意味合いを兼ねるのは、本来は神様を迎えている正月の間に火を使って煮炊きすることを慎むため。また、正月三が日は主婦を家事から解放するという意味が加わり、今のような作りおきできるメニューが中心になったといわれています。

 

 

 

洋風おせち、中華おせち、オードブル型式など多彩に変化しています。特徴はそれぞれですが、先人の知恵や風習があって変化してきたことは心に刻んでおこうと思います。

 

 

 

子供の頃は、両親は必ず着物を着て、手作りのおせちで新年を迎えた記憶があります。そんな記憶を息子に残してあげられないのを今更ながら反省していますが、お重の意味に加え、「重箱の隅をつつく」などの言葉を教えようと思います。

 

 

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