若干、「弱冠」のお話
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成人の日が近づいてきました。皆さんは、成人式にどんな思い出がありますか?
東京で大学生活を送っていた私は、鹿児島に帰省して、友人たちと晴れ着で写真撮影をしました。写真館で撮影した写真は、よくドラマで見るようなお見合い写真のような出来栄えでした。お見合いに使われることはありませんでしたが・・・
今ではレンタル着物も当り前になりましたが、30年以上前は、二十歳の娘のために頑張って振り袖を購入する家庭も少なくありませんでした。
しかし、その頃のうちの家計では、何十万もかけて成人式の晴れ着を作る余裕はなく、親戚から借りた振り袖姿で写真に納まりました。
二十歳の誕生日を迎えた頃、大人になったからと父から相談されたのは、
「大学を辞めてもらえないか」というものでした。
保証人になったことから多額の借金を抱えた現実をつきつけられたのです。
私にとって二十歳(はたち)という言葉は、希望に満ちた響きであると共に、苦しい大人のスタートを意味していました。
しかし、辞めろと言われて、すんなり引き下がる田巻ではありません。そこからは奨学金とアルバイトで大学を卒業しましたが、崖っぷちに立たされ私を支えてくれたのは、何が何でもアナウンサーになるという夢でした。
弱冠 二十歳で経験した、若干、苦い思い出です。
さて、「弱冠 二十歳」と表現しましたが、近年では性別に関係なく、年が若いことを意味する場合に使われます。しかし、もともとは二十歳の男子を意味する言葉であることをご存知でしょうか。
広辞苑によると、「弱冠」とは、
1 二十歳の男子の異称。また成人に達すること。
2 年の若いこと
とあります。
古代中国では、「弱」という漢字は、二十歳(成人)を意味し、そして二十歳になったことを祝って「冠」をかぶって元服式を行ったことが「弱冠」という言葉の由来のようです。
10代後半から20代までの男性を指すことが主で、女性に使われることも多くなりましたが、違和感を覚える人もいるでしょう。30歳以降や女性の場合は、「35歳の若さで~」「二十歳の若さで~」という使い方の方が無難でしょう。難しいですね。
また、「じゃっかん」と同じ読み方でも、「若干」という言葉もあります。
同じく広辞苑によると、
1 それほど多くはない、不定の数量
2 多少 いささか
「若干」の「干」という文字は、「一」と「十」を合体させた文字で、「一の若く(ごとく)、十の若し(ごとし)」一のようでもあり、十のようでもあるという、はっきりしないがあまり多くはないことを表しています。
今週は、若干、「弱冠」についてのお話でした・・・
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