「忙しい」VS「暇」

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「忙しい」という字は、「心を亡くす」と書くことは、多くの方が聞いたことがあるでしょう。

中３の息子が度々口にする「忙しい」という言葉。確かに、今の中高生は傍から見ていても、時間に追われ、保護者の間でも「今の子って、忙しいよね」と話題になります。

 

 

私自身も日々の仕事や家事に追われ、「忙しい」が口癖になり、知らず知らずのうちに息子に伝染したのではないかと少しばかり反省しました。

 

 

先日、郵便局の窓口で、「お忙しそうですね」と声をかけられました。普段よく利用する所ではなく、初めて訪れた郵便局の、（私は）初めてお目にかかる女性です。

 

 

？？？私の何を知っているのか、キョトンとしていると、「よくテレビでお見かけするものですから」と続きました。

 

ここで視聴者あるあるですが、1度でもテレビで見ると、なぜか、「よく」という言葉を使います。鹿児島時代も、アナウンサーから秘書になって何年もテレビに出ていないのに、「いつも見ています」と声をかけられたものでした。

 

 

いずれにしても、それはテレビの人間に「最近見ないね」と言うよりも気遣いでおっしゃるのはわかります。

 

 

郵便局の女性は、視聴者として私を知っているということでしたが、いきなり、「お忙しそうですね」と言われると、何と言っていいのか迷いました。

 

 

この「忙しい」の言葉遣い。例えば、目上の人に話しかけるときは、「お忙しいところ、失礼いたします」よりも、「ご多用のところ、失礼いたします」の方が、「いろいろと用事も多いなか、お時間を頂戴して恐縮ですが」という思いが込められているので、より使いやすい言い回しでしょう。

 

 

多忙な相手に頼み事をする際、「お暇なときでも」とストレートな物言いは避けるため、緊急ではない場合によく聞く「お手すきの折にでも」という言葉遣いはどうでしょう？

 

忙しいなら後回しでも構わない、時間がある時でいいので、というニュアンスです。「手がすいている」は、「忙しくない」=「暇」と同じ使い方ですが、少しの空き時間を感じさせるいいイメージの言い回しとして使われます。

 

 

ところが、こんな場合も。メールでの問い合わせに、「お手すきの時にご連絡ください」と書いてあって、嫌な気持ちになったという男性がいらっしゃいました。

 

実際、お手すきの時はないし、数多くの仕事をこなしているので、手がすかなかったら永遠に連絡しなくてもいい、などと屁理屈です。そもそも、そう思うことが心を亡くしているのでは、と言いたくなりました。（昔、「お疲れ様です」と挨拶をしたら、「俺は疲れていない」と言った上司の顔を思い出した田巻です。）

 

 

ビジネスマナーとして、「お手すきの折」と書いている人で、相手に嫌な思いをさせるために書いている人はいないでしょうし、その思いを受けとめることも、これまた思いやりのマナーではないかと思うのです。

 

 

しかし、人によってその言葉が持つニュアンスの感じ方もそれぞれです。このような方には、やはり、前置きで華々しい活躍を称えた上で、「ご多用のところ、お時間を頂戴し申し訳ございませんが、ご連絡をいただければ幸いです」でしょうか。

 

 

中途半端に忙しいアピールをする人は、「仕事がたくさん依頼され必要とされている、そのくらい自分は価値のある人間だ」と優越感に浸っている場合もあります。自分で書いていて耳も目も痛い・・・。

 

秘書時代に田巻が見てきた、また現在もお付き合いがある素晴らしい経営者や多方面で大活躍の皆様から「忙しい」という言葉をあまり聞いたことはありません。

 

 

傍から見ていても忙しいのは十分わかる方々ですが、そういう方は、どんなに忙しくても好きな人に会う、好きなことをする、なんとかやりくりして「時間を作る」のです。

亡くなった親友が、「私は暇だよ。華月ちゃんは忙しいんだから合わせるよ」と言ってくれたのを思い出します。他にも「暇だから、いつでも声をかけてね」と言う友人たち。そんな人たちに限って、いつも活動的で仕事も家庭も両立していることを知っています。

 

 

心が疲れたり、話しを聞いてもらう時など、「暇だよ」という言葉に何度救われたことでしょう。

 

 

「忙しい」はちょっとカッコよくて、「暇」はあまりいいイメージではないかもしれませんが、「暇」という言葉の中には「優しさ」が隠れていて、「忙しい」とは、優しい心を失うことなのかもしれません。

 

 

相手のために自分の時間を使い、寄り添うことが優しさならば、「暇」という言葉をここぞという時に使いこなしたいと思うのです。

さて、息子が小学校高学年の頃、「忙しいなあ。仕事って、重なる時は重なるんだよね～」とぼやいていた私に、息子がポツリ・・・「アナウンサーも先生の仕事も好きでやっているんでしょ。嬉しいことのはずなのにね」

 

 

はい！その通り！そうなのです。そうですね。ありがたいことなのです。

 

 

中学生になり、勉強、塾、テスト、部活、生徒会に追われ、少し田巻の気持ちがわかってきた彼と、「忙しい」を別の言葉で言ってみよう運動、開催中！

 

 

「いやあ～。充実してるなあ～」

「なかなか、こんなにたくさんのこと1度に味わえないなあ～」

「乗り越えられる人のところにしか、試練は来ないなあ～」

 

皆さんは、どんな言葉に言い換えますか？