銀杏と銀杏
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カフェの大きな窓から、街路樹のイチョウの木を見上げると、小さな実がたわわに実っているではありませんか。
銀杏です。秋晴れの青空に、まだ色づいていない緑の葉にかくれて、オレンジとも黄色とも言えない温かみのある色が映えます。
ところで、皆さんは、「銀杏」を何と読みますか?この場合の「銀杏」は、秋の味覚の実である「ギンナン」ですが、「銀杏」は、「いちょう」とも読みます。
つまり、「銀杏の実は、銀杏」を読むと、「イチョウの実はギンナン」となるわけで、少々ややこしいですね。
語源由来辞典などによると、「銀杏(イチョウ)は、中国原産で、葉っぱが鴨の足の水かきに似ていることから、中国語で「鴨脚」と呼ばれ、「イチャオ」「「ヤチャオ」「ヤ―チャウ」などと発音されました。
鎌倉時代、当時の宋に行った日本人僧や商人などが、「イーチャウ」と覚えて帰国し、伝える過程で「イチョウ」になったとされています。
「銀杏」の字は、その実の形が杏(あんず)に似ており、中身の殻が銀白色に見えることから「銀杏」と書き、その実自体も「銀杏」と書いて、「ギンナン」と読むわけですね。
秋の味覚とされているのは、ギンナンの果肉(強烈な臭いで知られていますが)ではなく、果肉の中にある種子の部分です。
また、イチョウは、「公孫樹」とも書くそうで、これは苗を植えてから実がなるまで数十年という長い年月がかかることから、孫の代に実るという意味なんだそうです。
実際は、自然のなかだと25年程で、栽培技術を使えば7、8年。7、8年でも待ち遠しいですね。
ところで、実がなるといっても、実がなる木とならない木があるのをご存じですか?と、さも博識のように言ってしまいましたが、田巻は調べて初めて知りました。イチョウの木には、オス・メスがあり、ギンナンの実がなるほうがメスの木。
イチョウの木の花粉はとても小さく、風に乗って何キロも飛んでいくことができるそうで、ギンナンを生産しているある果樹園では、400本のメスの木に、オスの木はたった1本でなんだそうです。
オス・メスがあるなら、例えば強烈な臭いを放つメスの木ではなく、実をつけないオスの木を街路樹にすればいいのに、と思っても、そう簡単にはいかないようです。
栽培技術を使って生産目的であれば可能ですが、一般的には、実がつくかどうかを待たないと、確実に見分けられないのがイチョウの驚きの生態です。
空を見上げたら、一つ知識を得たなと思った秋の日です。
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