打てば響く、打たなくても響く？

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ある企業の幹部が嘆いていました。育休に入った社員の代わりに、1年の契約で来た派遣社員。専門学校を出たばかりの新卒二十歳の女性。「打っても打っても響かないんですよ」と。

 

 

仕事はデータ入力と確認などの補助作業。なんとか仕事は覚えても、同僚と話しをすることができない、仕事でわからない点があっても、話しかけて聞くことができないというのです。

 

 

こちらから話しかけても反応がなく、聞いているのかわかっているのかもわからない・・・確かに困ったものです。

あるとき、「わからないことは聞いて確認をしないと、大きなミスにつながる」と話すと、驚きの言い訳をしたそうです。

 

 

「大人が怖くて、話しかけられません」

 

 

ここで言う“大人”とは、大人の男性。若い女性からみて、40代以上の、いわゆる・・・なんというか・・・簡単に言えば、″おじさん″です。しかし、そのおじさんたちに聞かないとできない仕事なのです。

 

コミュニケーションが苦手な若者が増えているのは現実ですが、このように、深刻な状況もさまざまな業界で見られます。「怖い」という言葉を、せめて、「人と話すのが苦手です」くらいの言い訳にしてほしいものですが、その言葉の選び方もまだまだなのでしょう。

 

 

大学の授業では、1年生から4年生までの授業を持っていますが、すべての授業でコミュニケーションタイムを設けます。

 

なかでも、2年生から4年生が一緒に履修できるビジネスマナーの授業では、毎週、学年を超えて会話をさせます。毎年のことながら、初回授業終了後の感想には、「コミュニケーションが苦手」と書く学生が数人います。

 

 

しかし、克服したい、自分を変えたいなどの言葉が続き、実際、授業を通して克服できる学生は多くいるのです。しかし、年が近い若者同士であれば話しやすくても、社会に出ればさまざまな年代を相手に会話をしなければなりません。いくつもの壁を越えながら、慣れていくしかありません。

 

 

鐘を打ったら音がすぐ鳴るように、何か話すと反応がすぐに返ってくる人、こちらの意を理解してくれるような人のことを「打てば響く人」と言います。

「打てば響く」は、会話のスムーズさだけではなく、人間関係の“心のキャッチボール″が理想的にできている状態とも言えるでしょう。例えば、初対面であっても、打てば響くような人だと、なんだか昔からの知り合いにように会話が弾むものです。

 

そんな「打てば響く人」になるためには、いつも心のアンテナを立て、目配り、気配り、心配りをする必要があります。これは、勉強ができるかできないかの頭の良さとは関係ないのです。

 

 

この4月は、さまざまな業界の研修がありました。ついつい、相手にも同じように「打てば響く」を要求してしまいますが、それはあまりよくないと反省しています。

 

個人的には、言われなくても相手の意を理解できるよう、打たなくても響く人？を目指していますが・・・

人間は生まれ持った資質があります。相手のペースに合わせる寛容さと忍耐も、またコミュニケーション能力なのかもしれません。もともと察するのが上手で、打てば響くタイプの人は要注意です。

 

最近の田巻は、研修を通して、「忍耐」を学んでいます。あらゆる修業はまだまだ続きそうです。

 

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