「はしたない」は、何がない？

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多様性の時代、男性、女性、というくくりの表現ははばかられますが、それでも、目に余る姿を見かけると言いたくもなります。

ここ2か月程で、東京、埼玉、千葉、島根、山形を訪れました。特に都会になればなるほど、人の目を気にしなくなることを実感しました。

千葉から東京駅に向かう電車での出来事です。新幹線のような二人掛け、三人掛けではなく、乗客が車両中央に向かい合う一般的な座席の電車です。19時を過ぎた東京行きのため、車内はそこまで混んではいませんでした。田巻より後に乗ってきて、田巻から1席程空けた所に座った若い女性が・・・座ってすぐにメイクを始めました。

空いている席に鞄と化粧ポーチと置き、なんと下地から始めたではありませんか。これは「化粧直し」ではなく、「電車で化粧する」です。

思わず3度見くらいしてしまいましたが、正面に座った30代くらいの男性は見て見ぬふり。年配の女性は少し怪訝な顔をしていました。あきらかに周囲は驚いていましたが、本人はまったく気にする様子はありませんでした。1時間ほどして東京駅に着くころには、バッチリメイクの完成です。

そういうと、高校生や大学生くらいのギャル世代？と思うかもしれませんが、装いは少しおとなしい感じの、20代半ばから後半頃のように見えました。いわゆる、普通のお嬢さんです。

千葉から東京へ移動する1時間はちょうどメイクするのにいいのでしょうか。もう二度と会わない人たちだからどう思われても構わないと思っているのでしょうか・・・そもそも、周りからどう思われるかなんて関係ないのかもしれません。しかし、その様子を見せられる周囲は不快な思いをする人も多いでしょう。

やれやれ、またそんな女性を見てしまった・・・残念・・・

「また」というのは、その少し前にも同じようなことがあったからです。

東京から新潟へ戻る新幹線での出来事です。3人掛けシートで、田巻は窓側、中央席に仕事仲間の女性社長。一緒に新潟へ戻るところでした。

その通路側に座ったのは、20歳前後の女の子でした。大きな荷物をガサガサと置き、とにかく慌ただしさが伝わってきます。新潟で推しのライブか、アニメのイベントでもあるのかしら・・・そんな雰囲気です。

時間は14時頃でしたが、コンビニ袋からガサガサと食事を取り出しました、プラスチックの容器を開ける音も大きく、食事もなぜだが、落ち着きなく食べています。とにかく、「がさつ」なのです。

そして・・・食事を済ませたかと思ったら、メイクを始めました。こちらも「化粧直し」ではなく、最初からです。人前で化粧直しをすることは下品と言われることも多いものですが、人前を気にしない若者が増えているのだなと諦めのような気分になりました。

加えて驚いたのは、その女の子が降りたあとに、横に座っていた女性社長の一言でした。

「あの子、臭かったわ。お風呂に入っていないのかも」

確かに、最近はお風呂に入らない若い女性が多いと聞きます。逆に、清潔感溢れる男性が多いものです。

人前でも平気でメイクをする様子を見ながら、「はしたない」という言葉が浮かびました。「はしたない」を辞典で引くと以下のような意味が出てきます。

１慎みがなく、礼儀にはずれたり品格に欠けたりして見苦しい。みっともない。

２どっちつかずで落ち着かないさま。中途半端である。

３間が悪く、恥ずかしい。ばつが悪い。

４自分に向けられる他人の言動を、不快に感じたり迷惑に思ったりするさま。

５人に対する配慮が欠けるさま。つれない。むごい。

６程度がはなはだしい。ひどい。激しい。

「はしたない」の漢字表記は、「端ない」です。「端」は、まともにそろった状態ではないこと。はんぱ。ちょうど切りのよい数（量）に余った分。ある目標に足りない分量のもの。また、とるに足りないもの。

例えば「はした金」という言葉もあるように、数量が足りない中途半端な状態を意味します。中途半端で収まりが悪いというところから「身の置きどころがない、恥ずかしい」という自身の感情を示すようになり、そこからさらに転じて、「見苦しい、行儀が悪い」といった、相手に不快な気持ちを抱かせるような態度をいうようにもなりました。