「はだざむい」派?「はださむい」派?
田巻華月メルマガ「『人間力』に磨きをかける!」メールセミナーの内容をブログでは1週間遅れで簡潔にお伝えしています。2018年6月15日配信分のメルマガの内容です。
日本列島は、雨の季節ですね、梅雨入りの発表が行われない北海道を除いて、全ての地域が梅雨入りしました。このところ朝晩はヒンヤリしている新潟です。皆さんがお住まいの地域がいかがでしょうか?
きょうから明日にかけては梅雨寒となる所もありそうです。そんな天気予報を伝えるアナウンサーの言葉に、田巻は度々ツッコミを入れます。
先日も、全国ネットで「今朝は肌寒(はだざむ)かったですね。」
田巻「・・・イラッ・・・」
皆さんは「肌寒い」を何と読みますか?「はだざむい」派?「はださむい」派?
正解は、「はださむい」で「ざ」と濁らない清音です。
アナウンサーとして鹿児島放送に入社したばかりの頃、アナウンスの師匠でもあった上司からこんなことを言われました。
「テレビは最高の娯楽だが、今後君たちには娯楽ではなくなる。なぜなら、テレビは仕事で、画面から聞こえてくる言葉遣いが気になるからだ。気にならないのならプロではない。」
その言葉通り、アナウンサーの言葉はもちろん、一般の人や芸能人の言葉遣い、画面から聞こえるコマーシャルのナレーションも気になる生活が約30年も・・・(笑)続いています。
現在もニュースを読んでいますので、ニュースや気象情報の原稿を書く際も気をつけているつもりですが、まだまだ修業が足りません。
話を元に戻して、「肌寒い」は、今では辞書にも(「はだざむい」とも)と( )書きがあるので、一般的には間違いではありません。
「じゃあ、どっちでもいいのね?」と言われれば、はい。どちらでもいいのです・・・ただ、田巻は言葉のプロとしてこだわっているだけです。
しかし、なんと!使う時期があります。肌寒(はださむ)は、俳句の秋の季語で、秋が来て肌に空気を冷たく感じることを言います。夏の終わりの頃から秋にかけての頃の表現として使うのが伝統的で「朝夕はめっきり肌寒くなりました」など。
ということは、春先や梅雨寒のこの時期に「肌寒い」は、間違った使い方ということになります。・・・が、肌に空気が冷たく感じるんですから、つい使っちゃいますね。私も仕事以外では・・・つい。
濁音と清音には他にもいろいろあります。
例えば、名詞は「通りがかり」と濁音で読みますが、動詞になると、「通りかかる」と清音。
名詞の「着替え(きがえ)」は濁音で、動詞は濁らずに「着替える(きかえる)」
言葉は生き物なので、どんどん変わりますが、「雨」つながりで、「雨模様」という言葉にも田巻は敏感です。雨が降っている様子を「全国的に雨もようになっています」などと言いますが、「雨もよう」は、「これから雨が降りそうな状態」のときに使うのが本来の用法です。
しかし今では、本来の用法に加えて「すでに雨が降っている状態」の時にも使われています。「雨もよう」や「荒れもよう」の「もよう」は、「今にもそうなりそうな様子」を表す「催い(もよい)」が変化したものだそうです。
今では、すでに雨が降っていたり、天気がやや荒れていたりする状況を説明する場合にも使われています。
ややこしいですね。日本語は本当に難しいと実感します。ちなみに、「梅雨寒」は「つゆざむ」と濁りますの。おほほ。
局アナ時代、間違った読み方などを反省し、共有するためのアナウンスチェックノートが存在しました。アナウンスの師匠が気付いたことをノートにつけていたもので、ニュースを読み終えて帰ってくると、すぐに手招きされたものです。
細かいイントネーションまで注意してもらったからこそ、プロとしての自覚が芽生えました。
そのノートには、肌寒い(はだざむい)× 正(はださむい)大平(旧姓)間違い
と書かれていました。
失敗したからこそ、身についています。師匠との懐かしい思い出は尽きません。
あっ、ご健在です。生涯アナウンサーという言葉がぴったりなおじいちゃんアナ、ではなく男性アナウンサーです。毎年電話で最低2回は近況報告をしています。拙著『「秘書力」で人生を変える!』にも、隅々まで目を通していただき、厳しい指摘も。師弟関係に感謝しかありません。
御年80歳を超え、多少足腰は弱っても、電話を通じて聞こえる艶のある声に励まされます。
私も生涯アナウンサーを目指し、テレビに向かって、ツッコミを入れ続け自分に厳しくまいります。ビシッ!
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