夫婦の誕生日

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1年前の今頃、「結婚20周年の記念に、何か大イベントを企画したかったのに、時間がなくて全く考えられない」と嘆いていました。

10年の節目には、両家の母も連れて、私の両親の故郷である奄美大島を旅しました。父はすでに他界しているため、母2人への感謝を込めた旅行でしたが、肝心の夫は抜き（仕事のため）・・・息子と女だけの賑やかな旅でした。

10年の記念日当日、夫から、ではなく宅配のおじさんから手渡されたのは、朱色と藍色の薩摩切子のグラス。その後10年にわたって、毎年3月21日の春分の日に登場します。

実は昨年、20年と大騒ぎした際、夫がポツリと・・・「言うとくけど、今年は20年ではないと思うで」。そう。田巻は1年、間違っておりました。あと1年あるなら大イベントをゆっくり考えられる、よかった～と思ったら、あっという間に昨日がやってきて、結果・・・何もない普段通りの生活に幸せを感じる日となりました。

ところで、結婚から25周年の「銀婚式」、50周年の「金婚式」は有名ですが、これ以外にも、呼び名が定められている結婚記念日はたくさんあります。ちなみに20年は、磁器婚式です。

実はこの結婚記念日の発祥はイギリスで、15年までは1年単位、それ以降は5年単位で祝う風習があり、それぞれに呼び方があります。それには、記念日に贈る物の名前が付けられています。イギリス人は大変ですね。日本では、明治天皇が結婚25周年の銀婚式をお祝いされたことをきっかけに広がったそうです。

皆さんが既婚者なら、何婚式ですか？その年によって、呼び方が複数ある年もありますが、代表的なものでご紹介します。

1周年　紙婚式　二人で歩んでいく結婚生活を考えると、１年目はまだ真っ白な紙のようなもの。これからの将来設計などを白紙に書き出し、幸せな生活を願うという意味から。

2周年　綿婚式　2人の関係はまだしっかりと固まっていない状態であることが多いため、綿のように柔らかくもろいというイメージから。また綿は比較的安価なうえ丈夫で長持ちする素材としても知られており、質素倹約という意味も。

3周年　革婚式　　革のように夫婦の絆を丈夫で強いものに。3年目の〇〇などトラブルも起きやすい時期に、長年使いこむことで魅力が増す革製品を贈る夫婦も多いとか。

4周年　花婚式　　5周年　木婚式　　　6周年　鉄婚式　　7周年　銅婚式　　8周年　青銅婚式　　9周年　　陶器婚式　　10周年　錫婚式　　11周年　鋼鉄婚式　　12周年　絹婚式　　13周年　レース婚式　　14周年　象牙婚式　　15周年　水晶婚式

20周年　磁器婚式　　25周年　銀婚式　　30周年　真珠婚式35周年　珊瑚婚式　　40周年　ルビー婚式　　45周年　サファイヤ婚式　50周年　金婚式　　55周年　エメラルド婚式　　60周年　ダイヤモンド婚式　　65周年　碧玉婚式　70周年　プラチナ婚式。

その後、75年周年にダイヤと金、80周年に樫、　85周年にワインと続くそうです。海外では、基本的に夫から妻へ贈り物をするようですが、ここは日本なので・・・今やネット検索でもしようものなら、磁器婚式にはこんなお皿はいかがですか？と様々な商品が出てきます。ご注意ください。

結婚記念日は、「夫婦の誕生日」。年を重ねて、ゆっくりゆっくり、本物の夫婦になっていくのだと感じています。いろいろあっても、ようやく20歳、大人になれた私たちです。

先日、ロック歌手で俳優の内田裕也さんが亡くなりました。奇妙な夫婦関係が常に話題だった妻　樹木希林さんの死からわずか半年。もともと体調が優れなかったにしても、失ってわかった妻の存在は大きかったのだと推測します。

訃報を受け、7年前に結婚情報誌ゼクシィのCMで共演した夫婦の映像を各局流していました。和服姿の2人が少し距離をおいて向き合って座り、福山雅治の「家族になろうよ」のメロディにのせて、樹木さんが「結婚のいいところって何でしょうね」と語り掛けると、「ロッケンロール！」と叫ぶ内田さん。

樹木さんが、「こればっかり」とユーモラスながら温かく見守る姿が印象的でした。田巻の計算によると・・・お2人は昨年結婚45年のサファイヤ婚かと思われます。独特の夫婦関係で知られたお2人ですが、妻の死後半年であとを追うように逝ってしまった内田さんの人生の幕引きで、本物の夫婦の関係を見せられた気がします。

「亭主元気で、留守がいい」もとい、「あなたが心身とも健康で、元気でありさえすればそれでいい」そんな言葉をこの場を借りて夫に贈ります。