ちゃんと！しっかり！きちんと！

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新年度が始まりました。皆さんの職場の雰囲気に変化はあるでしょうか。

田巻が勤務する放送局の報道部は新入社員を迎え、また春の異動もあり、新たなメンバーで新年度がスタートしました。自分自身には何の変化もありませんが、周りの環境の変化で気持ちを新たにしています。

さまざまな業界での新社会人研修も始まりました。今週は毎年研修を担当している建設業界の新社会人研修を担当。県内外の建設会社に入社した新入社員が34名参加しました。自己紹介では建設業界で働くことへの意気込みと共に、社会人としての抱負が聞かれました。

若者たちの自己紹介や激励する上司の言葉などを聞いて改めて気づかされるのは、この時期、「ちゃんと」「しっかり」「きちんと」という言葉の多さです。

「ちゃんとした社会人になりたい」

「自分の仕事をしっかり頑張ります」

「仕事をきちんとできるようになりたい」

「しっかり頑張っていきましょう」

などなど・・・

漠然としたこれらの言葉は、子育てではNGワードと言われています。しかし、ある程度経験がある大人の世界では便利な言葉でついつい使ってしまいがちです。しかし大人の世界であっても、これらの言葉を発する本人と相手が考える内容が違う場合があるため、田巻は普段から、これらの言葉をできるだけ使わずに具体的に話すことを心がけています。

例えば、仕事を一つ頼むにしてもこちらが思っていること、行ってほしいことを明確に伝えなければ相手には伝わりません。頼んでいた作業が思っていたよりできていないなど経験はないでしょうか。

自分の「ちゃんと」、「きちんと」、「しっかり」はどの程度でしょう。

例えば、上司がAさんとBさんに仕事のデスクを「ちゃんと」片付けなさい、と指示を出したとします。同じ指示を出したのに異なった結果になるでしょう。

「ちゃんと」や「きちんと」「しっかり」の尺度は人それぞれです。人の感覚には違いがあるため、例えばAさんは引き出しの中まで整理するかもしれません。Bさんはとりあえず、机の上の資料を揃えただけかもしれません。

このような事態が起きることを想定出来れば、「普段よく使う資料は横積みではなく、スタンドに立てて整理」「ハンギングフォルダーなどを活用して引き出しでも資料整理」などの指示ができます。実際は仕事の机の片づけ方まで言うことはまれですが・・・

「ちゃんと」「きちんと」「しっかり」は「程度言葉」といいます。何をしてほしいか、どうしてほしいか｢程度｣では伝わらない場面が多くあります。「いつまでに(期限)」、「何を」、「どのように」してほしいかを具体的に伝えることが、お互いにとってストレスもなくなります。

「ちゃんと」「しっかり」「きちんと」は、非常に便利な言葉ですが、これらを極力避けて、具体的に伝えることがコミュニケーション不足を予防する方法の一つではないしょうか。

ある雑誌に大学教授が書いた記事を読みました。「濫用される『しっかり』」というコーナータイトルで、政治家の「しっかり」について書かれていました。

以下、引用します。

「とにかく、『しっかりやります』を繰り返すばかりで、内治外交について具体策はなしし。唖然としました。これは岸田首都とて同様。昨年度通常国会の首相答弁で千八百五回も『しっかり』を口にしたと、野党議員から揶揄される始末。まあ、政治家の『しっかりやる』は、何もしないと同義語です（笑）。」（『致知』　中村学園大学客員教授　占部賢志　「目立つ面妖な言葉と話法」より）

あいまいな表現ではなく、具体的、明確な言葉を選んで、ちゃんと！しっかり！きちんと！話す練習を重ねましょう。

と言いながら、先日大学に入学した我が息子に、「ねえ、ちゃんとして～」「しっかりしてよ～」「きちんとね」を連発している田巻です。ああ、これでは伝わりませんね。難しい・・・

ちゃんとした人間になりたい・・・

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