先週、仕事で上京したときのことです。夜に食事会をすることになったため、田巻の地元鹿児島の食を堪能してもらうため、鹿児島で評判のいいお店の東京店を予約しました。

ネット予約はできなかったので、電話をしてコースをお願いしました。鹿児島ではゆっくりと食事をすることができるお店なので、そのイメージで初めて東京店を予約しましたが・・・夕方17時という早めの時間帯で、飲み放題コースでもありませんが、「2時間でお願いします」と一言添えられました。

さすが東京の、インバウンド客が溢れる地域です。仕方ありません。

当日入店すると、改めて「2時間くらいでお願いします」と念押しされました。「2時間」に「くらい」と言われたので、2時間を少し過ぎてもいいのかな・・・と思いましたが、食事をしていても頭から「2時間」が離れません。しかし、コースなので、頑張って食べても時間はギリギリのはずです。

久しぶりに会った友人二人と、おしゃべりをゆっくり楽しみたいと思っていましたが、その時間制限に追い打ちをかけたのが、接客です。

お皿が空くとすぐに、「空いたお皿をお下げします」と持っていきます。その接客態度と言い方も気になりました。しかも、1枚単位で何度も・・・そのたびに、話の腰を折られて中断。2時間で食べなければと一生懸命食べる・・・の繰り返しです。

飲み放題ではないので、鹿児島の焼酎も吟味しながら注文します。梅酒に入っていた大きな梅の実を、もったいないので食べようと思っていると、グラスが空いたと同時に持っていかれそうになり、「まだ梅、食べます」と下げないようにお願いしました。

そんなやりとりが何度も続き、「早く帰ってほしいと思ってしまうね。2時間はわかっているけど」と友人たちと苦笑い。皆さんはこんな思いをしたことはありますか。

飲食店の接客で店員がよく使う言葉の一つに、「ごゆっくりどうぞ」があります。

しかし、食べ終えた後、長時間談笑したり、スマホを見たりしていると、店員が、

「空いたお皿、お下げしてもよろしいですか」

「空いたお皿、お下げします」

「空いたお皿、お下げしますね」などと言い、

食器を下げに来て、その後も水を何度もつぎ足しに来ることもあります。

今回の田巻たちのように、最初から時間制限を言われていない場合であっても、まるで「早く出て行ってほしい」と無言でアピールされているように感じる人も多いようです。しかし、それは早く帰ってほしいわけではなく、店側はサービスの一環でしていることです。食べ終わった後の食器は汚れているので、目の前をきれいにして、お客さんに心地よく過ごしてもらうためで、これが飲食店などでは当たり前のサービスとしての共通認識です。フードビジネスのサイトでも、そうしましょうと指導されています。

本来、飲食店のサービスは料理を出す順番やタイミングを計り、食事のペースに合わせて料理の間隔を考え、空いたお皿を下げて目の前をきれいにし、飲み物にも常に気を配るというように、客側が心地よく過ごせるように気を配る仕事です。

しかし、心地よく感じるタイミングや下げ方は客それぞれ異なります。客は一人なのか、数人でおしゃべりがはずんでいるのか。逆に深刻な雰囲気か。パソコンを広げて仕事をしているのか、

食後に珈琲などの飲み物がある場合は、その前のお皿を下げてもらって、テーブの上を綺麗にしたあとで、ゆっくり珈琲を飲むのもいいでしょう。資料を広げたければ、自ら下げてほしいと頼む人もいるでしょう。

飲食店の店員は、そのサービスを「おもてなし」にするのか、それとも、ただの「作業」にするのか、空気を読む力、臨機応変に対応する力も必要です。もちろん、そこに態度や振る舞いが大きく影響することは言うまでもありません。

飲食店の評価は、食そのものが美味しいかはもちろん重要ですが、やはり接客も大きく影響します。

東京のそのお店では、あれだけ2時間と言われたのに、結局、コースの全料理が提供されるに2時間以上かかり、注文したお酒を飲み干すには2時間半はかかりました。さずがに、料理の提供が2時間かかっては、店側も2時間たったので出てくださいとは言えません。

地元鹿児島で評判のお店が、東京へ出店して評価を下げるのは鹿児島人としては残念すぎます。実は以前、新潟から東京へ進出したお店でも、同じメンバーで残念な目にあった経験があります。

地元の「おもてなし」もそのままに、東京や海外の皆さんへ提供してほしいと思った田巻です。皆さんは、どう思われますか。